TAMIYA GRAND PRIX


参戦記 その2
~実戦編~
練習走行前日に公開されたコースレイアウト紹介の動画を見て戦慄が走りました。「ぜんぜんグリップしてないじゃん!! どうするよ!?」と。コースに敷かれたカーペットの表面がまだ馴染んでないのか、かなりヤバそうな雰囲気。
まずはMスポーツ。M-08ではなくM-07を持ち込むべきだったか…と少しばかり不安を覚えつつ、フロントにMグリップ(Hインナー)、リヤにSラジハード(Hインナー)を装着してコースイン。
やはりというか、案の定、まわりを見渡せば巻いてるマシンもけっこういるっぽく。
そんななか
「ん!? ぜんぜんイケるんでない…!?」
予想に反し、若干アンダー気味なものの、激しく巻くようなこともなく安定して走って悪くない。これならじゅうぶん戦える…内心ホッとしました。
Mがあれだけ走るなら…と余裕をかましてたら、なんとStのTT-02Sが危険モード全開だった。リヤグリップがまったく足りてない。ここまで酷いテールハッピーに陥いるなんてちょっと想定外。なんらかの対策を打たないと話にならんゾと。
やはりみなさん感じ方は似たり寄ったりで、タイヤをどうするかでかなり迷われているようす。ウチのマシンはギヤ比が不利なこともあり、少しでも最高速を稼ぎたいからレーシングラジアル以外の選択肢はないワケで…。
コース自体はいたってシンプルでタミグラらしいレイアウト。それなりにストレートもあるから車速も無視できないかんじ。攻めどころは1コーナーから続く複合の左から右、それとバックストレート終わりの後半セクション左1コめか。どのエリアもオレンジのマーカーは要注意ですよと。
練習走行後、2台ともモーターを外しKV値チェックへ。M-08のほうは2165でOK、TT-02Sのほうは2235とややオーバー気味。要調整となったため、某メーカーのテスターを用いて50~60くらい下がる方向に触って予選に備えました。

☆ ☆ ☆ ☆
予選 ROUND 1Mスポーツグランプリ1回めは後列からなので無理はせず抑え気味に様子をみる作戦で。
スタート後の混乱をまずまずのロスでくぐり抜け無難な走りに徹しゴール。マシンはそこそこよく走ってるっぽい。
66台中8番手。
Stグランプリ
ファイバーモールド系のミディアムやハード、もしくはC2などといった別のタイヤに頼る選択肢を持っていない以上、マシン側のセッティング変更でどうにか走るように整えていくしかない。
まず取り組んだのがリヤのトーイン変更。2.5度から3.0度に増やしてみた。さらにサスの伸び側を確保するという意味合いから車高を1.0mmほどダウン。
リヤまわりにウエイトを積むとかさらなる対策を打つかしばし悩むも、ヘンにイジりすぎて泥沼化しても…との思いから却下。
原因が路面とタイヤのマッチングにあることは明白。路面が少しずつよくなることを信じて(願って)まずはこの状態で臨もうと。
2.5度から3.0度に換えたからといっていきなり激変とはいかないでしょうが、とりあえずやるだけやる。あとは路面がクリーンアップされてよくなっていくことに期待。こんなリヤグリップが不足する状況だと、最善の打開策は「もっと食うタイヤに交換」なんでしょうきっと。慎重にスタートすると、すぐに練習走行時よりグリップすることがわかった。前後とも滑るような感覚はあるものの挙動は安定している。これならとペースを上げ2分終了。
48台中9番手。
☆ ☆ ☆ ☆
予選 ROUND 2Mスポーツグランプリ
マシン的にはなんら問題なくよく走ってる。勝負の2回めは前列から。
1回めの手応えからして、スタートさえうまく抜けられれば4~5秒はラクに詰められるハズ、あわよくばもっと…みたいな思惑があった。そのための準備をしてきたし。
とんだ取らぬ狸の皮算用だった。
タイミングよくスタートで前に飛び出すも、1コーナーまでアドバンテージは生きなかった。なんともタミグラらしい展開(!!)に陥ってあえなく撃沈。早々にフェンスにつかまりリバースに入れるハメに…。
有利な前列で勝負させてもらえず、1回めより5秒も落とすという残念な結果に。ガックリなんてもんじゃないっす。
順位は16番手まで急降下。こうも上手くいかないのはどうしてなんでしょ!?
ううぅぅ・ ・ ・ ・Stグランプリ
失意のMスポーツ予選から立ち直る間もなく攻める姿勢はどこへやら。こっちでも同じような失敗をしたら1日を棒に振ってしまう…と、超慎重にスタートしました。
サイドからの強烈な寄せはスロットルオフで引き下がって回避。前列からだというのに全開で1コーナーに飛び込めないなんてちょっとフラストレーションが。
二度めは引かない。ここからは強気で。抜け出してからは慎重に周囲をうかがいながら落ち着いて周回を重ねトップゴール。
無事タイムアップに成功、全体で2番手のポジションまでジャンプアップできました。ナイス!!
レース後の車検で測定されたKV値は2159。少し下げ過ぎてたっぽい。

☆ ☆ ☆ ☆
決 勝Mスポーツグランプリ代表権争いの圏外なので、気楽に楽しいレースができればってことで緊張感はゼロ。
ただ、14台出走の6番グリッドと、いろいろ問題が起きやすいポジションでもあるため、スタートから半周くらいまでは集中力MAXでいこうと。
スタートしてやはりというか、そのいろいろは起きた。よく見て避けて避けてどうにか抜け出す。先頭をゆくマシンはとうに逃げ切りモードでだいぶ先。なんかここで集中力が一気に緩んだ。
レース終盤、他のマシンと接触してひとつポジションを落として3着でフィニッシュ。
Stグランプリ走行前のミーティングの際、ほかのファイナリストのマシンを見てみるとスリックタイヤの装着率がやけに高いではないの。レーシングラジアルは自分含め2~3人!? 「やっぱり正解はそっちなの!?」とちょっと動揺。

一方、シャーシはバリエーションに富んでいて、シャフト車・ベルト車相まみれの混戦模様。現行モデルはほぼ揃っていたんじゃないでしょうか。ボディはNSXが圧倒的人気で、最新のポルシェGT3が1台おもいっきり異彩を放っていましたね。存在感も速さの面でも。
レースは前のほうのグリッドからなので、比較的心にゆとりを持ちつつスタート(←根拠不明)。

走り出してすぐタイヤのグリップに不安を覚えた。前が滑って遅れてリヤが滑るみたいな動き。ラインが定まらずコントロールがむずかしい。
自分がイメージするより内側に入ろうとしてるみたいで、マーカーに触って危ないったらありゃしない。で、やはり引っかけて飛んだ。バックストレートからの左がもっとも手こずり、巻きまくってやはりインに乗り上げる。そしてまた飛んだ。
原因は一体なんだったんでしょう。1回崩れたリズムは戻ることなく予選のときのようにスマートに走れなかった。
結局5位フィニッシュでレースは終了。まわりはみんな上手な選手ばかり。そんななかじゅうぶん善戦できたと思う。TT-02 TYPE-Sもよくやってくれました。


☆ ☆ ☆ ☆
ジュニア軍団からオヤジ衆まで地元勢のあまりの激っ速無双ぶりに夢も希望も見出せない掛川のレース(←大袈裟)と違って、ほんと現実世界に戻った気がする。
特設ならではの難しさも全員イコールでワイワイあれやこれや。誰も正解を知らないなかでの駆け引きなんて最高の醍醐味で。参加者みんなが存分に楽しんでいるような、そんな雰囲気の東京大会が大好きです。(※レベルが高い低いとかそういうことが言いたいわけじゃないです)
2019年を最後にコロナ禍で開催が見送られ、空白の期間を経てようやく再開。がしかし、喜びもつかの間で、この東京大会、おそらく今回でこの場所での開催は最後になりそうな。ビルの建て替えで、解体→完成まで数年の長い期間がかかるってことだからこればかりはどうしようもない。
レースが終わってTOCビルを出るとき、古びた建物を見上げながら「これでもうここに来ることはないのかぁ」としんみり。なんともいえない寂しさがこみ上げてきました。
今回は参加者を関東圏に限定したのもよかったですね。東京・神奈川は大都市で人口も多いエリアだというのに、RCのレースイベントはショップ主催のタミチャレ等含めここ数年皆無に等しいんです。みな機会に飢えているというか、待ちに待ったというか。
あるエントラントの「よその地域から来る腕自慢はある種の“荒らし行為”だよ」というひと言はインパクトがあって刺さりました~。主催者側からの制限には「英断だ」と。それだけみなさんこの“場”を大切に思っているということなんでしょうね。
今後、このエリアでのタミヤGPがどうなっていくか、非常に多くのひとが気に留めていたのも印象的です。「どこかいい場所がないもんかねぇ」なんて会話のやり取りをどれほど耳にしたことか。
いちばん頭を悩ませているのはもちろん主催者側であって、われわれ参加者はなにかアシストできないか、本気で考えなくてはと思う次第で。
「東京、横浜に関しては3,000円までなら出すでしょ」なんて、参加費について言及されているかたもいましたね。どこでやることになるにせよ、開催場所の専有にかかる費用がこれですべて賄えるとは思えないけど、少しはフォローになるだろうと。
かつて存在した出版社(メディア)対抗レースの枠で渋谷、お台場、浅草等々、都心のにぎやかな会場でのレースに何度か参加させてもらいましたが、いま思えば、段取りからなにから見えない部分での運営サイドのご苦労は相当なもんだったんだなと。その変遷からも場所を抑え続けることの難しさが垣間見えるってもんです。
はたして次回はあるのか。一方的に期待してばかりというのもなんなんで、開催場所について候補となり得る有力情報等あれば、みなさんどんどん提供していきましょうぜ。
またの機会を心より待ち望みましょう!!